キリスト教カトリック総本山をおくヴァチカン市国を囲むローマには数えきれないほどの教会があります。
どの教会も、神秘的でキリスト教徒でなくともその芸術と雰囲気に感動を覚えることも少なくありません。
その中でも、ローマにある少し変わった教会「トリックアート」いわゆる「だまし絵」で彩られた教会
「聖イグナチオ・デ・ロヨラ教会」(伊:Chiesa di Sant’Ignazio di Loyola)についてご紹介します。
歴史・背景

もともとこの地には1551年に設立されたローマン大学(現:教皇庁立グレゴリアン大学(伊:Pontificia Università Gregoriana)という神学を学ぶ学校があっと場所に建てられた教会です。
生徒の割にこのスペースが十分でなくなったため、大学を他へ移しこの地をイエズス会のための教会を大学自体に建てるべきだ!ということになったのがこの教会の始まりです。
当時のローマ法皇グレゴリウス15世記が、オラツィオ・グラッシ(伊:Orazio Grass)にこの計画を依頼し、
イエズス会の創設者の一人であるイグナチオ・デ・ロヨラ(伊:Ignazio di Loyola)
に捧げられたということです。
(捧げられたのは、1722年ごろ)
1626年ごろから建設されたこの教会には当時の芸術家をカルロ・マデルノ(伊:Carlo Maderno)を含む数人招集し作りはじめられました。
だまし絵アートを施したアンドレア・ポッツォ(伊:Andrea Pozzo)の作品は、
は1685年ごろに創作されました。
教会の完成は17世紀後半と言われています。
絶対見て欲しいポイント
1)ポッツォ作のトリックアート!
このトリックアートを描いたのがアンドレア・ポッツォ(Andrea Pozzo)です。
イエズス会の平修道士で、修道会の演劇の舞台などを作る舞台美術を担当していた人です。
そして、もちろん芸術家としても活動をされていました。
リアルすぎる天井画!

まずはこの天井画です。
何度見ても立体に見える遠近法を用いられた「聖イグナチオの栄光(伊:S.Ignazio in Gloria)」という作品です。
中心付近には「イエス様」、そしてこの教会の名前ともなっている聖人「イグナチオ」そして、
日本人なら馴染みのある、イエズス会といえばのあの方「ザビエル」が描かれています。
そして全ての端には4大陸を象徴する聖人が周りに描かれています。
と、詳しく下記にてご紹介します。↓↓
「聖イグナチオの栄光」の構造
少し見にくいですが、調べがついた範囲でご案内します。

①アジア大陸です。
らくだに乗っている様子が描かれています。
そしてそのすぐ上の黒い服を着ている人物があのフランシスコ・ザビエルです。
②ヨーロッパ大陸です。
青い地球を支配する馬にのった女王が描かれています。
ヨーロッパが力を持っていた時代背景も読み取れます。
③アメリカ大陸です。
羽の冠をかぶった人物は、インド人のようです。
ネイティブアメリカンの様子が描かれているようです。
④アフリカ大陸です。
肌の色が濃い目に描かれています。

写真からは詳細が見えにくいので、ぜひご自身の目でご覧いただけますように。
中からしか見えないクーポラ

このアンドレア・ポッツォはこの教会内で他にもトリックアートを施しました。
それは、「クーポラ 」です。
あのイタリアの教会にはだいたいついている丸い帽子のような部分です。
(↓写真参考)

この教会、外から見たらわかるように天井は真っ平らです。
施行中の資金不足によりクーポラ が作れなくなり、またもやこの遠近法を使って中から見た際にクーポラ があるように描かれています。
2)グレゴリウス15世記念碑
教会の中にあるルドヴィスィ聖堂(伊:Cappella Ludovisi)にローマ法皇グレゴリウス15世の記念碑が置かれています。
こちらフランス人の芸術家ピエール・レグロス(Pierre Legros)によって作られた作品も大変美しくぜひ見て欲しい作品の一つです。
引用元:wikipedia
3)ルイージ・ゴンザーガのお墓
ここにはイエズス会に関わりなが短い生涯(没年23歳)を終えたのルイージ・ゴンザーガ(伊:Luigi Gonzaga)
(別名:アロイシウス・ゴンザーガ(伊:Aloysio Gonzaga))のお墓もこの教会にあります。
彼は当時流行っていた疫病つまり感染症にて亡くなったため、HIV患者の守護聖人とも最近では言われている人物です。
出典元:wikipedia
4)聖イグナチオへの献身の碑文
入り口のすぐ裏、ファザードの裏側にこの聖イグナチオの献身の碑文が飾られています。
これは、イタリア人彫刻家アレッサンドロ・アルガルディ(伊:Alessandro Algardi)が作ったものです。
ぜひ、探して見てください。
出典元:abcroma.com
目を凝らしても。。。
いかがでしたでしょうか?
この教会は私も大変好きな教会で、こんな時代でも現在人の目から見ても本当にリアルな3D絵画となっているのがたまらなく素敵です。
皆さんの目にはどう映るのかも楽しみです!
ローマ散策の際は、ぜひ一度足を運んでみてください。
場所・アクセス
聖イグナチオ・デ・ロヨラ教会 (伊:Chiesa di Sant’ Ignazio di Loyola)
住所: Via del Caravita, 8a, 00186 Roma RM
開放時間:毎日9:00~20:00
費用:無料
詳細は下記のオフォシャルサイトでご確認ください。
行き方:
・テルミ二駅からバス:64にてPlebiscitoにて下車後、徒歩約5分
・一番近くのバス停はCorso/Minghettiです。
(停車バス:62,63,83,85,119,160,492,628)
・トレビの泉やパンテオンからも近いので徒歩でゆっくり散歩しながら向かうのがいいと思います。
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